乗った電車は席は空いておらず、残り15ページとなった本を読んで時間をつぶすことに。2つ目の駅で斜め前の席が空き、座ろうと思うも先に座られてしまう。そのまま本を読み続け、次の駅でその本を読み終え、バックの中にしまう。そこで自分の前の席の人をひととおり見回すと、さっき席を取られた人の顔に見覚えが…。その人が、自分の高校1年の担任のT先生だと気がつくのに不思議と時間がかからなかった。
T先生だという確信はなかったが、「T先生ですか?」と小声ながらとっさに声をかけている自分がいた。先生も不思議そうに「そうですが」。やっぱりそうだった。「○○高校のOBのAです。1年のときに担任をしてもらいました。」と話す。そこからの10分間は妙な時間だった。おそらく高校卒業後、先生とはお会いしていない。「なんとなく面影はある」と言われつつも、メガネからコンタクトに変えた自分の記憶があいまいなのかもしれない。お互いに遠慮して、話題も途切れがちになる。
先生は自分たちの卒業と同時に他校に異動になっていた(それは知っていた)。現在は、偶然にも自宅にほど近い学校にお勤めとのこと。東京からの帰り道で、普段は別の路線を使うのだが、今回は場所が高田馬場ということもあり、JRで帰るのだとのこと。自分の仕事も学校とは縁があるため、何かあったら…と話をつなげる。先生が自分に話しかける口調が「です」、「ます」系になっているのが、時の流れと、その間隔の長さ、そして自分が社会人になったことを実感させた。
下車する駅は同じだった。自分はそのまま自宅へ、先生は乗り換えてかなり先の町まで。友人にもお会いした旨話しますと伝え、帰りがけに自分の名刺を渡し、握手して別れた。
今、なんともいえない嬉しさがこみ上げてくる。これはどういうことなんだろうか? 15年前にほんの少し戻れたような感覚なのかな? 言葉にうまく表現することができない。懐かしさなんだろうか。
なんか、ショートドラマみたいですね。しかし、同じ場所に乗った偶然もすごいけど、いきなり声をかける自分も冷静に考えると恐ろしい根性してますね。